「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.52
第11条 市町村は、空き家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさない適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第13条までにおいて同じ。)に関するデータベースの整備その他空き家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
Q52:第11条の趣旨は何か。
A52:1 市町村が空き家等に関する施策を実施するにあたっては、当該市町村が既存の統計資料等も活用しつつ法第9条及び第10条に基づき行った調査等を通じて、空き家等の所在、所有者等の権利関係、空き家等の管理状況や朽廃の程度等を把握したうえで、その行政区域に存在する空き家等の現状等に関する情報を整理し、行政情報として蓄積していくことが有益である。
そこで、本条により、市町村に対し空き家等に関するデータベースの整備その他空き家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずる努力義務を規定したのである。
2 このような調査の結果、判明した空き家等については例えば空き家等の所在地を一覧表にし、又は地図上に示したものを市町村の内部部局間で常時確認できるような状態にしておくなど、空き家等の所在地等について市町村内の関係部局が情報共有できる環境を整備することが重要である。
3 なお、本条の対象から「建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、または賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさない適切に管理されているものに限る。)」が除かれている。これは「空き家等」には、持ち主が元々販売用又は賃貸用物件として市場に提供しているものも含まれるが、通常、これらの「空き物件」は、民間の不動産販売・賃貸業者あるいは所有者等によって適切に管理されていると考えられるうえ、活用もこれらの業者等による市場取引によって図られるものであるから、市町村による空き家等に関する施策の対象にする必要性が少なく、データベースの整備等の対象とする実益に乏しいと考えられることによる。
以上のような理由から、本条の対象から原則として「建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの」を除外した。もっとも、たとえ分譲用又は賃貸用不動産であっても、この法律の趣旨・目的に照らし、周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている空き家等については、市町村がその実態を把握しておくのが適当であることから、本条の対象に含めることとしている。