「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.41
第9条 市町村長は、当該市町村の区域内にある空き家等の所在及び当該空き家等の所有者等を把握するための調査、その他空き家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことができる。
2 市町村長は、第14条第一項から第三項までの規定の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任したものに、空き家等と認められる場所に立ち入って調査させることができる。
3 市町村長は、前項の規定により当該職員又はその委任したものを、空き家と認められる場所に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該空き家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときはこの限りではない。
4 第二項の規定により空き家等と認められる場所に立ち入ろうとするものは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを掲示しなければならない。
5 第二項の規定による立ち入り調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
Q41:建築基準法第12条第7項但書では、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならないとされているところ、本項の立入調査においては、所有者等の承諾は不要なのか。
A41:1 建築基準法第12条第7項ただし書きは、「ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。」と規定し、住居以外の建築物等と異なり、住居への立入調査の場合にその「居住者」の承諾を必要としている。これは、「住居」については、他の建築物等よりも居住者の私生活の平穏を保護する必要性が高いことから、「居住者の承諾」を要件としたからである。
2 他方、本項に定める立入り調査は、対象が「居住その他の使用がなされていないことが常態である」空き家等であるため、「住居」の立入りに該当せず「居住者」も想定されない。
したがって、本法においては、建築基準法における住居以外の建築物等の扱いと同様に、立入調査を行うに当り空き家等の居住者の承諾を要件としなかった。
3 もっとも、Q40で述べたように、本条第3項において通知手続きが定められており、立入調査の現場において空き家等の所有者等の承諾がなくとも立入調査が実施できる。
しかしながら、本項の立入調査は罰則による間接強制が認められているにすぎないから、所有者等が明示的な拒否をしている場合に物理的強制力を直接用いてまで立入調査を執行することはできないことは、Q40で述べてとおりである。