「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.49
第10条 市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空き家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
2 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもののうち特別区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用する目的で都が保有する情報であって、特別区の区域内にある空き家等の所有者等に関するものについて、当該特別区の区長から提供を求められたときは、この法律の施行のために必要な限度において、速やかに当該情報の提供を行うものとする。
3 前項に定めるもののほか、市町村長はこの法律の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他のものに対して、空き家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。
Q49:第1項の「内部で利用」とはどういう意味か。例えば、空き家等の所有者等に関する情報の提供を受けた空き家部局が当該空き家の所有者等と連絡をとることは許されるのか。
A49:1 「内部で利用」とは、固定資産課税情報等を保有する市町村の内部機関における当該情報の利用をいう。具体的には、市町村の空き家等担当部局が同じ市町村の税務部局から固定資産税の課税事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空き家等の所有者等に関するものの提供を受けることを想定している。
このような情報の内部利用はあくまで「この法律の施行のために必要な限度」において許容されるものであり、当該情報を所有者等以外の他人に漏らす行為は、法の施行のために必要な限度においての利用と解されない。仮に当該情報を正当な理由なく空き家等の所有者等以外の他人に漏らした場合は、地方公務員法第34条の守秘義務違反が問題になる。
2 もっとも、本項に基づき税務部局から正当に受け取った情報をもとに、空き家等部局職員が空き家等の所有者等と連絡を取ることは可能である。
なぜなら、秘密を「漏らす」とは、まだ知らない他人に告知することをいう(『条解刑法(第3版)』p395「秘密漏示罪」参照)とされているところ、税務情報上、当該空き家等の所有者等として取り扱われている者は、自ら所有者等であることを知っているはずであり、情報の提供を受けた空き家等部局職員が、このような所有者等に連絡をとって確認することは「秘密をもらし」たことには該当しないからである。