「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.51
第10条 市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空き家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
2 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもののうち特別区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用する目的で都が保有する情報であって、特別区の区域内にある空き家等の所有者等に関するものについて、当該特別区の区長から提供を求められたときは、この法律の施行のために必要な限度において、速やかに当該情報の提供を行うものとする。
3 前項に定めるもののほか、市町村長はこの法律の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他のものに対して、空き家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。
Q51:第3項の趣旨はなにか
A51:1 空き家等の所在等を把握するため、他の市町村長等から情報を収集するケースとしては、通常、住民基本台帳法に基づく住民票情報、戸籍法に基づく戸籍謄本等、不動産登記法に基づく不動産登記簿情報の収集などが行われる。
2 これらの情報収集は、既存の法律で可能なものもあるが、空き家等担当部局が、他の市区町村長等に照会して、それらの情報を含めた空き家等の所有者等の情報提供を求めるための法的根拠を明確化すべきであるとの立場から、本項では本法に基づき空き家等対策を実施するため必要があるとき、市町村長は、他の「関係する地方公共団体の長その他の者」に対して、空き家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができることにした。
3 このように法的根拠が明確になったことから、例えば空き家等の不動産登記簿情報については関係する法務局長に対して、いわゆる公用請求として、電子媒体による必要な不動産登記簿情報の提供を求めることもできる。このように市町村長が法務局長に電子媒体による不動産登記簿情報を求めることとすれば、空き家等に関するデータベースを市町村が整備しようとする際に有効と考えられる。
4 「その他の者」には、水道、ガス、電気等の供給事業者等も含まれると考えられ、市町村長は、空き家等の水道、ガス・電気等の使用状況やそれらが使用可能な状態にあるか否か等についても照会することができる。なお、本項に基づく情報の提供の請求は法的根拠に基づくものであるが応じない場合の罰則はない。
また、固定資産税の納税義務者等の固定資産税の課税事務のために利用する目的で保有する情報については、法第10条第1項及び第2項に定めるところによることから、本項の「必要な情報」には、この税務情報は含まれていない。