「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.80

第14条 市町村長は、特定空き家等の所有者等に対し、当該特定空き家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空き家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。

2 市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空き家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。

3 市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

4 市町村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

5 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、市町村長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

6 市町村長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第3項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

7 市町村長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第3項の規定によって命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の3日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

8 第6項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

9 市町村長は、第3項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

10 第3項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第1項の助言若しくは指導又は第2項の勧告が行われるべき者を確知することができないため第3項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

11 市町村長は、第3項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土交通省令・総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

12 前項の標識は、第3項の規定による命令に係る特定空き家等に設置することができる。この場合においては、当該特定空き家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

13 第3項の規定による命令については、行政手続法(平成5年法律第88号)第三章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。

14 国土交通大臣及び総務大臣は、特定空き家等に対する措置に関し、その適切な実施を図るために必要な指針を定めることができる。

15 前各項に定めるもののほか、特定空き家等に対する措置に関し必要な事項は、国土交通省令・総務省令で定める。

 

Q80:第14項の「特定空き家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)の概要を述べよ。

 

A80:1「特定空き家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」には、「特定空き家等」に該当するか否かの判断に際して参考となる基準や、法第14条に基づく「特定空き家等」に対する措置を行う上での具体的な手続等が定められている。

 

2ガイドラインでは、まず、「特定空き家等」に対する具体的な措置内容を検討するうえで参考となるよう、「特定空き家等」に対して法を適用した場合に生じる効果等の概略を整理している。また、そもそも行政が関与し「特定空き家等」に対して規制手段を講じる合理性があるか否かについての判断や、建築基準法や消防法など他法令に基づく措置を含め適切な手段を選択するべきであることを示している。

 

3次に「特定空き家等」であるか否かの判断に際して勘案すべき事項を示している。具体的には、「特定空き家等」と判断し得る建築物等の物的状態に関する基準を具体例として別紙にわかりやすく示すとともに、この「特定空き家等」が周辺の建築物等や通行人等に与える悪影響の有無、また、その悪影響の程度が社会通念上許容される範囲にとどまるか否か、さらにはもたらされる危険等について切迫性が高いか否かを、適宜判断する必要があることを示している。加えて、「特定空き家等」として措置を講ずるべき対象の判断基準は一律である必要はなく、特に「空き家等」が立地している地域について、気候特性(積雪や台風の影響等)や景観特性(景観保全のルール等)など、地域の特性や実情を踏まえた判断が必要となることを示している。

 

4さらに、法第14条に基づく「特定空き家等」に対する措置を行う上での具体的な手続きについては、事前準備、所有者等からの報告徴収をはじめとする立入り調査の方法、市町村長による助言又は指導、勧告及び命令や、当該命令に従わない場合の行政代執行に係る具体的な手続き等を定めている。具体的には、本条に基づく措置の事前準備として、適切な管理が行われていない空き家等の所有者等の事情把握、立入調査を行うに当たっての具体的手続きとそれを拒否された際の留意事項などについて示している。併せて、「特定空き家等」について抵当権等の担保物件や賃貸借契約による賃貸借権等が設定されていることが判明した際の対応ににいての考え方も示している。

 

5これらの手続きの後に、「特定空き家等」に対して実施する法第14条に基づく措置については、行政手続法に基づき必要となる対応等とあわせ、措置の各段階における具体的な手続きを、必要に応じその参考様式とともに示している。また、本条第2項に基づく勧告の対象となる「特定空き家等」の所有者等が変わってしまった場合の取り扱いや、本条第10項に基づく略式代執行を実施するか否かを実際に判断する際に参考となる基準などを示している。

 

6なお、ガイドラインは、市町村が本法を運用して「特定空き家等」に対処するに当たっての基本的考え方を示すものであり、今後、事例の集積等の知見を踏まえ、必要に応じて適宜見直していくことが予定されている。

 

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