「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.88
第16条 第14条第3項の規定による市町村長の命令に違反したものは、50万円以下の過料に処する。
2 第9条第2項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、20万円以下の過料に処する。
Q:88 本法が施行された場合、地方公共団体が既に定めている空き家対策条例のうち、無効となるのはどのような規定か。有効となるのはどのような規定か。
A:88 1具体的には、特定空き家等に相当する状態の「空き家」に対して命令を行う場合に、以下のような内容を定める条例は、特定空き家等に対して「よりソフトな手段からより慎重な手続きで行う」こととした、本法の規定するナショナルミニマムを満たしておらず、当該条例で定める措置は無効となると考える。
助言・指導→勧告→命令のような3ステップではなく、助言・指導や勧告を前置せずに1ステップ又は2ステップで命令を行うことを規定した条例
命令を行う際の行政手続きを本法より緩く規定している条例、例えば本法より簡易な弁明手続きを規定していたり、意見聴取の事前告知の日数を本法の日数よりも短くしたりするなど、行政手続きの面で所有者等の権利保障を減じるもの
2 他方で、その地方特有の実情に配慮して以下のような内容を定める条例については、当該条例で定める措置は有効であると考える。
本法の特定空き家等とは異なる状態にある建築物を措置の対象として規定している条例(※横出し条例(法令と同一の目的のもとに、法令が規定対象としていない事項について条例を制定する))
行政が台風・大雨など緊急事態において、空き家等に一時的な応急措置を施すことができることを定めている条例
命令まで発せずに勧告どまりで対処することや、別途勧告に氏名公表措置を規定した条例
3 なお、(1)と(5)で結論を異にしているのは、命令まで発する場合には3ステップを踏まなければならないという点がナショナルミニマムの規制であると解されるからである。
以上のような基準にともない、各地方公共団体において、既存の条例における各規程の有効あるいは無効が判断されることとなり、本法と抵触する条例は改正手続きをとるか、又は当該条例を廃止することが考えられる。
なお、この法律によって、各市区町村には本法に規定する措置を実施する権限が、別途条例の規定を要せず可能となるので、1で述べた基準から無効とされた条例を直ちに改正する必要はなく、当該条例を維持したままで法を直接適用することが可能であるほか、仮に将来、同趣旨の条例を定める場合には、上述した基準に十分配慮して規定することが期待される。
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